ようこそOHO'24へ

Asia/Tokyo
3号館セミナーホール (KEK)

3号館セミナーホール

KEK

Description

高エネルギー加速器セミナーOHOはこれからの高エネルギー加速器をになう若手研究者の育成と、一般企業の研究者の加速器科学への理解を深めることを目的として、1984年より毎年開催しております。

これまでのOHOセミナーでは、ある特定のプロジェクトや技術にフォーカスしてきましたが、今年は趣向を変えて、「新奇・革新」という方向性を機軸としたオムニバス形式となっています。対象分野は加速技術であり、加速構造自体(常伝導、超伝導、誘電体)から、加速に必要な周辺技術(大電力源)までを含みます。加速技術の全てを網羅はしておりませんが、各分野の第一人者の方々にご講義いただきます。また、夜話では、レーザープラズマ加速について、新進気鋭の研究者の興味深いお話が聞けます。普段はあまり見聞きすることの少ない新しい技術の魅力とポテンシャルを感じてください。

この4日間の集中セミナーを通して共に高エネルギー加速器の未来を開くことが期待される加速技術について学んでいきたいと思います。若手の皆様はもちろんのこと、ベテラン研究者やご専門の方の聴講も歓迎いたします。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 

日時  :2024年9月10日(火)~13日(金)

会場  :高エネルギー加速器研究機構 つくばキャンパス+Zoomによるハイブリッド

参加費 :無料 テキスト購入者 2,000円(「講義資料・テキスト」参照)

申込期間:6月3日(月)〜8月30日(金)(テキスト希望者は厳守)

共催  :高エネルギー加速器科学研究奨励会(FAS)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)
 

問合せ先
    • -: 受付
    • -: 開会の辞
      Convener: 本田 融(KEK)
    • -: イントロダクション - 阿部 哲郎(KEK)
      Convener: 阿部 哲郎(KEK)
    • -: 休憩
    • 1
      常伝導高周波加速構造における革新的技術(1)

      本講義は、従来の(金属製)常伝導高周波加速構造に関する内容であるものの、そんな中でも、従来の常識を破るような革新的技術があることを紹介する。
      最初の話題は、加速構造の製作方法に関する。従来、常伝導加速管は、ビーム軸に直角な平面で分割した「ディスク」を数十枚積層して金属結合する「ディスク・スタック方式」で製作されてきた。一方、それとは直交する新しい製作方式として「縦方向分割方式」がある。その方式では、ビーム軸を含む平面で加速構造が分割されるため、パーツの個数は2個(2分割)または4個(4分割)であり、ディスク・スタック方式と比べると、圧倒的に少ないパーツ数で済む。その他にも、加速モードによる巨大な表面電流がいかなる接合箇所も渡らない等、多くの利点がある。近年の超精密ミリング加工技術により実現可能となってきた縦方向分割方式について説明する。
      ふたつ目の話題は、より高い加速周波数に関する。昨今のサステナビリティを考えると、加速効率を上げることは、社会的にも重要になってきているが、常伝導高周波加速構造の加速効率(単位長さあたりのシャントインピーダンス)は、加速モード周波数の平方根に比例して高くなる。究極の高周波加速とも言える数百GHz(サブテラヘルツ)帯(波長約1mm)の常伝導加速器開発についても説明する。
      時間があれば、その他の関連する最先端研究についても紹介したい。

      Speaker: 阿部 哲郎(KEK)
    • -: 集合写真撮影
    • -: 昼休み
    • 2
      常伝導高周波加速構造における革新的技術(2)
      Speaker: 阿部 哲郎(KEK)
    • -: 休憩
    • 3
      誘電体加速と超高周波源(1)

      加速器の電界を上げるには、表面損失を減らしQ値を上げつつ、周波数も高い周波数を利用してエネルギー密度を上げる事が超高電界加速器への早道であると考えられます。従来のマイクロ波帯の加速器から1桁以上高い周波数(数十GHz~)の超高周波加速器を考える際、金属導体の表面損失は非常に高くなってしまうため誘電体による加速構造が有効です。レーザーのミラーとして一般的に誘電体多層膜ミラーが使用されているのが
      その代表例です。
      本稿では誘電体を用いた様々な加速方式の紹介を行いつつ、超高電界を得るための超高周波源として、電子ビーム駆動及びレーザー駆動それぞれの超高周波源の原理と紹介を行います。

      Speaker: 吉田 光宏(KEK)
    • -: 休憩
    • 4
      誘電体加速と超高周波源(2)
      Speaker: 吉田 光宏(KEK)
    • -: 休憩
    • 5
      高効率クライストロン(1)[Introduction to High-Efficiency Klystrons(1)]

      The klystron, which provides RF power to large-scale particle accelerators, is one of the most power-consuming devices. Therefore, high-efficiency klystrons are in strong demand. Previous OHO lectures have detailed the theories and technologies of the klystron. This lecture will primarily focus on the efficiency of a klystron, discussing the ballistic theory of the klystron RF section. Through these discussions, we will define efficiency and highlight concepts critical to high-efficiency klystron design. Code for plotting Applegate diagrams based on equations will be provided. Additionally, simulation tools for designing klystrons will be introduced. Various new bunching methods aimed at achieving higher klystron efficiency will be described in detail, with some examples of input data for a one-dimensional simulation tool to help intuitively understand these new technologies. The advantage of multi-beam klystrons in achieving high efficiency will also be discussed. In the final part of the lecture, parameters of existing high-efficiency klystrons will be listed in detail. Ongoing global research activities, including new designs and test results, will be introduced one by one.

      Speaker: Wang Shengchang(KEK)
    • 6
      超伝導加速空洞における積層薄膜技術の原理と最前線(1)

      この講義では、超伝導加速空洞における革新的技術として注目されている積層薄膜構造について解説する。積層薄膜構造は、ニオブ製の超伝導空洞の内表面に薄い絶縁層を挟んで高Tc超伝導体を積層するもので、加速電場を大幅に向上させると期待されている。通常、超伝導加速空洞の物理を理解するには、BCS理論のグリーン関数による定式化といった高度な理論が必要とされるが、幸い、積層薄膜構造のエッセンスは初等的なロンドン理論で把握可能である。
      講義では、ロンドン理論を使って単体の超伝導中の磁場分布や電流分布、過熱磁場の計算を行う。その後、積層薄膜構造を持つ超伝導体中の同様の計算を進め、最適な膜厚が存在することを示す。各計算をBCS理論を用いて実行した場合の結果も紹介する。さ
      らに、最新の実験結果についても解説する。

      Speaker: 久保 毅幸(KEK)
    • -: 休憩
    • 7
      超伝導加速空洞における積層薄膜技術の原理と最前線(2)
      Speaker: 久保 毅幸(KEK)
    • -: 昼休み
    • 8
      高効率クライストロン(2)[Introduction to High-Efficiency Klystrons(2)]
      Speaker: Wang Shengchang(KEK)
    • -: 休憩
    • 9
      誘電体アシスト型加速管(1)

      高周波加速管には、常伝導加速管、超伝導加速空洞の他に、誘電体と金属を用いた誘電体加速管という第三の加速管が開発されている。本講義で取り上げる誘電体アシスト型加速管(Dielectric Assist Accelerating Structure, DAA管)は、この誘電体加速管に分類される。DAA管は、金属管内に低誘電損失材料からなる誘電体同軸構造と誘電体円盤を周期的に装荷した加速構造を持つ。この誘電体装荷型金属空洞の高次の共振モードにあたるTM02nモード(n:次数)をビーム加速に利用することで金属管表面に生じる導体損失を大幅に低減することが可能である。その結果、室温で非常に高いシャントインピーダンスを実現することができる。
      本講義では、誘電体加速管開発の歴史的変遷から、DAA管の基本原理、現在に至るまでの研究開発の現状について紹介する。

      Speaker: 佐藤 大輔(AIST)
    • -: 休憩
    • 10
      誘電体アシスト型加速管(2)
      Speaker: 佐藤 大輔(AIST)
    • -: 休憩
    • 11
      夜話(レーザープラズマ加速入門[A Brief Introduction to Laser-driven Plasma Based Particle Acceleration])

      Laser-plasma acceleration has been attractive since the idea of laser wakefield accelerator (LWFA) was proposed in 1979 by Tajima and Dawson. One of the advanced features of plasma acceleration is that it supports large electric field reaching 100GV/m, which makes the potential compact accelerator to be possible. Various mechanisms for electron injection control, laser pulse guiding and beam quality improving have been proposed and demonstrated in the past decades. Electron beams up to 8 GeV with the charge quantity of tens picocoulombs have been addressed in experiments. With the development of laser technology, multi-PW laser is available nowadays and the corresponding intensity exceeds 1021 W/cm2. It results in the generation of high energy ion beams when such an intense laser pulse irradiates on a dense target. The tens-MeV proton beams accelerated by laser-plasma interactions have the unique features of short duration, high brilliance, and low emittance. This work introduces the basic physics of laser-plasma interactions and the corresponding charged particle acceleration mechanisms. Comprehensive theoretical models for both electron and ion acceleration are presented. Practical formulas of the limited acceleration length and the energy scaling laws based on the laser-plasma parameters are given. The typical numerical method, Particle-in-cell simulation, is also briefly mentioned.

      Speaker: Gu Yanjun(Osaka Univ.)
    • 12
      光駆動加速技術(1)

      ビームを加速するためのドライブ源として、レーザーなどに代表される光を用いることは古くから提案され、様々な形で研究開発が行われてきました。非常に高い加速勾配や超小型の加速器が実現するなど、数多くの成果がありますが、安定に動作する「加速器」に至るにはまだハードルがあると言えます。一方で、ドライブ源としてのレーザーの技術発展は目覚ましく、単位輝度あたりの光にかかるコストは年々指数関数的に安くなっています。近い将来、光駆動加速の方が安価になる時代が来るのではないでしょうか。
      本講義では、ドライブ源としてのレーザー技術の現状を解説し、光駆動加速技術の概説やレーザー誘電体加速を例題とした光駆動加速の現状や課題についてお話します。

      Speaker: 坂上 和之(UTokyo)
    • -: 休憩
    • 13
      光駆動加速技術(2)
      Speaker: 坂上 和之(UTokyo)
    • -: 昼休み
    • -: 施設見学(つくば)
    • 14
      大電力半導体スイッチ(1)

      加速器は、電子や陽子などの荷電粒子を電場で加速し、その加速した荷電粒子の軌道を磁場で制御する装置です。そして、この電場と磁場をつくりだす装置が電源です。高エネルギー加速器には大電力電源が必要になり、電源回路のスイッチングデバイスには、サイラトロンなどの放電管やIGBTなどのパワー半導体が使用されています。これらのデバイスに高耐圧・低損失の特性に優れた次世代パワー半導体を展開し、安定化と長寿命化、さらには、電力効率向上と電源本体や冷却システムの小型化・軽量化の実現に貢献する革新的な新しいスイッチングデバイスの開発を進めています。
      本講義では、新しいデバイスの設計と開発に関する概要を紹介します。

      Speaker: 高柳 智弘(JAEA)
    • -: 休憩
    • 15
      大電力半導体スイッチ(2)
      Speaker: 高柳 智弘(JAEA)
    • -: 特別質疑応答
    • -: 閉会の辞
      Convener: 本田 融(KEK)