ようこそOHO'25へ

Asia/Tokyo
3号館セミナーホール (KEK)

3号館セミナーホール

KEK

Description

高エネルギー加速器セミナーOHOはこれからの高エネルギー加速器をになう若手研究者の育成と、一般企業の研究者の加速器科学への理解を深めることを目的として、1984年より毎年開催しており今年で第42回となります。

2025年度のセミナーのテーマは「放射光源加速器の基礎」です。放射光源加速器は、日本をはじめ世界各国にある放射光実験施設で稼働し、多くのユーザーの研究活動を支えている加速器です。今回はKEKで放射光源加速器の研究開発を担っている研究者が、高輝度放射光発生する電子蓄積リング型加速器について、その基礎から最新の開発動向までをわかりやすく講義します。カリキュラムには加速器の発展の歴史と応用研究、電子軌道の設計、高周波加速システム、ビーム不安定性と抑制、電磁石と電源、真空システム、挿入光源、入射システムとパルス電源といった内容が含まれます。

セミナー中盤には、長年に渡り放射光源加速器の発展に多大な貢献をされた加藤政博先生(広大・分子研)をお招きして「放射光は粒か波か?」と題する夜話を開催します。古くて新しいテーマである光量子の二重性について、放射光の特徴を利用した独創的な実験結果なども交えて楽しく解説していただきます。

高エネルギー加速器に興味をお持ちの方、これから加速器の研究開発に携りたいと思われている方にとっても、放射光源加速器の理解を深め、広い学問や技術分野の複合で成り立つ高エネルギー加速器科学の一端を知る良い機会になると思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 

日  時     :2025年9月2日(火)~5日(金)

会  場     :高エネルギー加速器研究機構 3号館セミナーホール
                   (つくばキャンパス + Zoomによるハイブリッド)

参加費 :無料 テキスト購入者 2,000円
                   (「講義資料・テキスト」参照)

申込期間:6月4日(水)〜8月25日(月)
                   (テキスト希望者は8月20日(水)厳守)

共  催     :高エネルギー加速器科学研究奨励会(FAS)
                  高エネルギー加速器研究機構(KEK)

Registration
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問合せ先
    • 09:00 09:30
      受付: 受 付
    • 09:30 09:50
      開会のセッション
    • 09:50 10:45
      加速器の歴史と利用研究(1) 55m

      放射性同位元素や宇宙線から始まった素粒子原子核の研究は、
      それらを自由に作り出せる粒子加速器の発明により飛躍的に発展した。
      蓄積リング型加速器における粒子のエネルギー損失として発見された
      シンクロトロン放射光は、極短紫外線から高エネルギーX線までの光源と
      して今では世界中で多くの研究に利用されている。本講義では、何かを
      深く掘り下げるよりも、できる限り広い領域を見落としなく網羅的に
      俯瞰することを目指したい。素粒子原子核分野を含む加速器の歴史の紹介、
      医療、工業利用を含めた現代の加速器及び粒子源の利用の紹介、PFに
      おける代表的な放射光ビームラインと多くの分野にわたる利用実験に
      ついての概略、最後に、コマ数の都合で触れられていない加速器の
      為の電磁石について補足として入門的な説明を行う。

      Speaker: 原田 健太郎 (KEK)
    • 10:45 10:55
      休 憩
    • 10:55 11:50
      加速器の歴史と利用研究(2) 55m
      Speaker: 原田 健太郎 (KEK)
    • 11:50 12:00
      集合写真: 集 合 写 真
    • 12:00 13:30
      昼 休 み
    • 13:30 14:25
      ラティスと線形オプティクス -設計と運転への適用-(1) 55m

      本講義では光源加速器で採用される代表的な磁石配列 (ラティス)と、
      電子ビームの軌道を記述する光学系 (optics)の基本的な部分 (線形optics)について説明する。
      また、KEKの放射光加速器であるPF-ringとPF-ARの改造・更新履歴、
      さらにPF将来計画であるPF-HLSを例として、
      実際の設計と運転への適用について紹介する予定である。

      Speaker: 東 直 (KEK)
    • 14:25 14:30
      休 憩
    • 14:30 15:25
      ラティスと線形オプティクス -設計と運転への適用-(2) 55m
      Speaker: 東 直 (KEK)
    • 15:25 15:35
      休 憩
    • 15:35 16:30
      放射光源で必要なDC電磁石電源 55m

      放射光源においてDC電磁石電源は電子ビームの周回軌道を決定している。近年の放射光源ではエミッタンスや周回ダクト径が小さいため、ビーム軌道の変動が放射光実験やビーム寿命に及ぼす影響が大きい。このため電源に対して高い安定性が求められる。一方で軌道変動は補正電磁石やキッカー等を用いたフィードバックによってある程度抑えられるので、開発コストや期間を考慮すると、電源の性能追求が最適解とはならない。本講演では電源の安定性がビームにどのような影響を与えるかを定性的に紹介し、電源でどれくらいの安定性を確保すれば良いかを議論する。その後、上記の安定性を達成するために必要なDC電源の構成について紹介する。

      Speaker: 内藤 大地 (KEK)
    • 09:00 09:55
      非線形オプティクスの最適化(1) 55m

      色収差を補正するため利用される六極磁場は、同時に非線形共鳴や振幅依存チュ
      ーンシフトなどを誘起して、空間をビームの存在できる領域と存在できない領域
      とにわける。放射光リングにおいてビームの存在できる領域が狭いと、入射効率
      やビーム寿命が悪化し、結果としてトップアップ運転が困難となる。ビームの存
      在できる領域を広げるためには、六極磁場係数を調整して色収差、非線形共鳴、
      振幅依存チューンシフトなどを同時に補正する必要がある。この補正手法につい
      て紹介する予定。

      Speaker: 下崎 義人 (KEK)
    • 09:55 10:00
      休 憩
    • 10:00 10:55
      非線形オプティクスの最適化(2) 55m
      Speaker: 下崎 義人 (KEK)
    • 10:55 11:05
      休 憩
    • 11:05 12:00
      放射光源加速器の高周波システム(1) 55m

      本講義では、放射光利用を目的とする電子蓄積リングの高周波(RF)システムに求められる役割、これを達成するべく構成されたRFシステムの概要、動作原理について説明する。次に、RF システムの構成要素についても、求められる機能を説明する。最後には近年開発が進む高輝度光源リングを用いた安定運転を実現するために求められる機能・装置、そしてそれらの開発状況について言及する。
      本講義の目的は、一定程度の加速器知識を有する人を対象に、RFシステムの「放射光源リング」に特化した専門的な知識を“紹介”することである。“紹介”としたのは、基本的な考え方と得られた知見を示すのに留め、詳細な議論・導出までは意図しないからである。むしろ、詳細な議論・導出を必要とする人への導入として、本講義が用いられると幸いである。

      Speaker: 山本 尚人 (KEK)
    • 12:00 13:30
      昼 休 み
    • 13:30 14:25
      放射光源加速器の高周波システム(2) 55m
      Speaker: 山本 尚人 (KEK)
    • 14:25 14:30
      休 憩
    • 14:30 15:25
      インピーダンスとビーム不安定性 55m

      荷電粒子ビームがストレージリング内を通過すると、電磁場が発生します。インピーダンスとは、これらの電磁場が真空チェンバーの壁面、加速空洞、挿入光源(IDs)、およびリングのその他の構成要素とどのように相互作用するかを表す指標です。本講演では、ビームのエネルギー損失、バンチ形状の変化、チューンシフト、横方向の不安定性など、ストレージリングにおけるインピーダンスの影響について考察します。アンジュレータやウィグラーのような挿入光源は、放射光の生成に不可欠な装置ですが、アパーチャが狭いことが多く、リング全体のインピーダンスにも大きく寄与します。本講演では、インピーダンスの特性評価手法、ビーム安定性への影響、そして次世代光源におけるインピーダンス(あるいはその影響)の軽減方法について紹介します。

      Speaker: TANAKA OLGA (KEK)
    • 15:25 15:35
      休 憩
    • 15:35 17:00
      放射光は粒か波か? 1h 25m

      光を含めあらゆるものは波動と粒子の二重性を帯びているとされている。この日常的な感覚では理解しがたい量子論的概念も、今日では、情報技術などに応用されるまでに至っている。それでは、このスクールの主題である放射光もこの二重性を示すのだろうか。放射光源用電子シンクロトロンの動作原理は古典力学・電磁気学でほぼ完全に理解できる。放射光の量子性はどのような場面で現れてくるのだろうか。実験結果も交えながら楽しく話題提供する。

      Speaker: 加藤 政博 (広大・分子研)
    • 09:00 09:55
      放射光源加速器の真空システム(1) 55m

      放射光源加速器では、ほぼ光速で直進する電子ビームの進行方向を変えることで放射光を生成する。進行中の電子ビームは残留気体ガスに衝突すると、散乱して失うことになる。残留ガスによるビーム損失を減らし、より長いビーム寿命を実現するためには、加速器全体を超高真空に保つ必要がある。本講義では、真空の基礎、放射光源加速器の真空システムの特徴、設計について、初学者を対象に説明する。

      Speaker: 金 秀光 (KEK)
    • 09:55 10:00
      休 憩
    • 10:00 10:55
      放射光源加速器の真空システム(2) 55m
      Speaker: 金 秀光 (KEK)
    • 10:55 11:05
      休 憩
    • 11:05 12:00
      挿入光源(1) 55m

      放射光利用研究施設では、広範な研究の推進に必要とされる様々な光を光源加速器を利用して生成して、ビームラインを通じて研究者が使う実験装置に送っている。光源加速器では、高エネルギー電子ビームを用いて放射光と呼ばれる、指向性が高く平均出力の高い安定した光を生成している。光源加速器を構成する要素の中で、磁場の力で電子ビームを蛇行させることで放射光を作る装置が挿入光源で、様々な特性を持った光を作るために多種多様な装置が運用されている。本講義では、挿入光源について初学者を対象に概説する。

      Speaker: 阿達 正浩 (KEK)
    • 12:00 13:30
      昼 休 み
    • 13:30 14:25
      挿入光源(2) 55m
      Speaker: 阿達 正浩 (KEK)
    • 14:25 14:30
      休 憩
    • 14:30 16:00
      施設見学: 施 設 見 学
    • 09:00 09:55
      放射光リング入射技術と要素開発 55m

      放射光源加速器(電子蓄積リング)では、物質構造科学のための放射光利用実験にたいし安定した放射光供給が加速器運転の重要なミッションとなっています。その安定した光の提供には、光源となる電子ビームの安定した蓄積と補充の繰り返しが必要です。そこで電子蓄積リングへ電子銃から輸送されてきた電子ビームを供給するための入射技術は運転ミッションを支える要の技術の一つとなっています。本講義では、「入射技術に高度でより複雑な技術が求められる理由とは」、「精緻なシステムで構築される入射システムに求められる要素開発とは」これら2つのテーマを中心にお話いたします。

      Speaker: 満田 史織 (KEK)
    • 09:55 10:05
      休 憩
    • 10:05 11:00
      放射光源加速器の入射パルス電磁石電源 55m

      放射光加速器における電子蓄積リングでは、電子ビームを蓄積した状態で継続的に電子を補充するトップアップ運転が主流となっている。この運転方式では、蓄積ビームの品質を維持したまま入射を行う必要があるため高度な入射技術が不可欠である。本講義では、その入射技術を構成する重要な要素の一つであるパルス電磁石電源について、求められる機能や動作原理、設計技術を説明する。また、近年注目されている次世代パワー半導体を用いたパルス電源の研究開発動向と、放射光加速器への将来応用についても紹介する。

      Speaker: 篠原 智史 (KEK)
    • 11:00 11:10
      閉会のセッション