OHO'22

Asia/Tokyo
3号館セミナーホール (KEK)

3号館セミナーホール

KEK

Description

日時:2022年9月6日(火)〜9日(金)

会場:高エネルギー加速器研究機構 つくばキャンパス+ Zoomによるハイブリッド(※ 状況により変更の可能性あり)

参加費:テキスト購入者 2,000円、

申込期間:6月1日〜8月31日 15時(テキスト購入者は8月20日まで)

共催:高エネルギー加速器科学研究奨励会(FAS)、高エネルギー加速器化学研究機構(KEK)、総合研究大学院大学(SOKENDAI)

 

 高エネルギー加速器セミナーOHOはこれからの高エネルギー加速器をになう若手研究者の育成と、一般企業の研究者の加速器科学への理解を深めることを目的として、1984年より毎年開催しております。

 今年のテーマは「超伝導電磁石技術」です。セミナーの最初に超伝導電磁石加速器応用全般についてのお話を伺い、引き続いて超伝導の基礎についての講義をして頂きます。また超伝導電磁石技術の重要な要素の一つでもある線材開発についての講義も用意しました。次に現在稼働中の加速器や計画中の加速器に組み込まれている超伝導電磁石システムについてはもちろんのこと、測定器の超伝導磁石や超伝導に欠かせない低温技術についての講義もあります。最終日にはサイクロトロンの超伝導化、重粒子線治療用加速器の超伝導化などの講義も盛り込みました。超伝導電磁石技術をテーマに様々な角度からそれぞれの分野の第一線でご活躍中の講師の方々から直接お話を伺うことができるまたとない機会です。

 セミナー中盤では夜話として「超伝導技術が切り拓く粒子加速器・物理実験のフロンティア」と題して長年に渡り超伝導技術に多大な貢献をされました 山本明高エネルギー加速器研究機構名誉教授の講演も予定されております。

 OHOセミナーシリーズを開催してから40年近くの月日が経ちましたが超伝導電磁石技術に特化した回は今回が初めてです。この4日間の集中セミナーを通して共に超伝導の基礎と超伝導電磁石技術について学んでいきたいと思います。
皆様のご参加をお待ちしております。

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問合せ先
    • 09:00
      受付
    • 09:20
      開会の挨拶

      test

    • 1
      超伝導電磁石加速器応用全般(1)

      1980年台に建設された大型加速器TEVATRONは、世界で初めて大規模な超伝導電磁石応用を実現し、超伝導電磁石技術が加速器の性能向上に大きく寄与できることを実証した。またそこで行われた開発が超伝導電磁石の製造技術を大きく発展させ、MRIの産業化などに大きな貢献をした。これ以降、加速器と超伝導電磁石技術の発展は相補的に進み、現在では、大型加速器だけでなく放射光や医療用加速器など中小規模の加速器においても超伝導電磁石が応用される様になっている。また応用の広がりは、超伝導電磁石に対する要求も広げ更なる技術発展につながっている。本講義では、加速器における超伝導電磁石応用についてその歴史を振り返りながら入門的な講義をするともに、現在の応用の広がりや将来に向けての技術動向に関しても紹介していく。

      Speaker: 荻津 透(KEK)
    • 10:20
      休憩
    • 2
      超伝導電磁石加速器応用全般(2)
      Speaker: 荻津 透(KEK)
    • 11:20
      休憩
    • 3
      超伝導電磁石加速器応用全般(3)
      Speaker: 荻津 透(KEK)
    • 12:20
      昼休み
    • 4
      超伝導の基礎(1)
      Speaker: 有本 靖(KEK)
    • 14:20
      休憩
    • 5
      超伝導の基礎(2)

      今日, 超伝導は先端加速器においてますます重要な技術となっている.
      本講義では超伝導の基礎的な内容について紹介する.
      具体的には, マイスナー効果, ロンドン方程式等の現象論, 超伝導状態の熱力学特性, BCS理論の基本的な考え方, ジョセフソン効果等について解説する.

      Speaker: 有本 靖(KEK)
    • 15:20
      休憩
    • 6
      超伝導電磁石の基礎(1)

      NbTiやNbSn3といった実用的な超伝導材料(第II種超伝導体)では超伝導体内部への磁束の侵入が許され、またピン止め効果によって磁束は捕捉されるため、結果として第I種超伝導体を凌ぐ高い臨界磁場・臨界電流密度を得る事ができます。しかし、磁束が侵入するという事は超伝導体が磁化するという事ですから、周辺に余計な磁場を生み出し、また磁化損失等によって超伝導体内部に発生する熱が熱的安定性に影響を及ぼします。これらは加速器等の磁場発生装置としての応用において問題となります。本講義では上記背景から出発して電磁石のために考案された超伝導線材・ケーブルの特徴を述べ、想定される電磁現象や熱的安定性について加速器用電磁石の実例を交えながら話していきたいと思います。

      Speaker: 鈴木 研人(KEK)
    • 16:20
      休憩
    • 7
      超伝導電磁石の基礎(2)
      Speaker: 鈴木 研人(KEK)
    • 8
      超伝導線材開発(1)

      現在、高エネルギー粒子加速器やMRIなどの実用超伝導マグネットにはNbTi合金線材が広く使われています。NbTi合金は塑性加工が比較的容易で長尺線材も世界的に量産されています。一方、10Tを超える高磁場マグネットでは、上部臨界磁場の高い化合物系や銅酸化物系などの高磁場用超伝導線材が求められます。いずれも脆弱な機械的性質をもつため線材化は難しく、さらに高い性能を得るには結晶粒の微細化や結晶配向などの高度な組織制御も必要で、そこに線材開発の醍醐味があります。本講義では、各種超伝導体の性質に応じたユニークな線材化プロセス開発とそれらの特徴について、最新トピックスを交えながら解説します。

      Speaker: 菊池 章弘(NIMS)
    • 09:50
      休憩
    • 9
      超伝導線材開発(2)
      Speaker: 菊池 章弘(NIMS)
    • 10:50
      休憩
    • 10
      SuperKEKB超伝導電磁石システム(1)

      SuperKEKBは電子・陽電子を衝突させ、その衝突による反応現象から新しい物理を見つけ出そうとする加速器です。目標とする衝突の頻度は、SuperKEKBの前加速器KEKBより一桁以上高く、電子と陽電子のビーム衝突断面形状は、垂直方向に約50ナノメータ、水平方向に約10マイクロメータまで絞り込みます。今回のセミナーでは、加速器電磁石で用いられる磁場について簡単に説明し、電子・陽電子ビームを絞り込むための超伝導電磁石システムについて説明します。

      Speaker: 大内 徳人(KEK)
    • 11:50
      昼休み
    • 11
      SuperKEKB超伝導電磁石システム(2)
      Speaker: 大内 徳人(KEK)
    • 14:10
      休憩
    • 12
      HL-LHC計画とKEKにおける超伝導磁石開発(1)

      欧州原子核研究機構(CERN)のLarge Hadron Collider(LHC)は、世界最高エネルギーでの陽子・陽子衝突実験を行う、エネルギーフロンティア加速器である。世界最高の重心系衝突エネルギー(7+7=14 TeV)を実現するため、周長27kmの加速器リングには1000台を超える超伝導電磁石が設置されている。KEKはCERNとの国際協力としてLHC建設に参加し、1996年から最終ビーム収束用超伝導四極電磁石(MQXA)の開発・製造を分担して貢献した。
      このときのLHC計画を通して培った超伝導技術が、2002年に始まったJ-PARCニュートリノビームライン用超伝導電磁石システムの建設に活かされることになった。世界初となる機能結合型超伝導電磁石の開発に成功し、2009年からはビーム実験が始まり現在に至っている。
      一方、LHCでは順調に運転が進んでいるが、統計数を飛躍的に増大させるための高輝度化アップグレード計画HL-LHC(High Luminosity LHC)が並行して進行している。KEKは再びHL-LHC計画に参加しており、ビーム分離用超伝導双極電磁石(D1)の開発・製造を分担している。
      本セミナーでは、KEKで開発、製造してきた上述の超伝導電磁石を概観した後、現在進行中であるD1磁石の技術的詳細について説明する。

      Speaker: 中本 建志(KEK)
    • 15:10
      休憩
    • 13
      HL-LHC計画とKEKにおける超伝導磁石開発(2)
      Speaker: 中本 建志(KEK)
    • 16:10
      休憩
    • 14
      夜話(超伝導技術が切り拓く高エネルギー加速器・素粒子物理実験のフロンティア)

      素粒子物理実験のフロンティアを担う高エネルギー加速器・物理実験では、軌道制御を担う超伝導磁石、加速を担う超伝導高周波加速空洞が両輪となって、将来の更なる発展に向けた鍵を握ります。これらの超伝導技術の発展に着目しつつ、高エネルギー加速器フロンティアの未来を展望します。 また、夜話・余話として、超伝導技術の究極的な応用となった『超伝導スペクトロメータによる宇宙起源反粒子探索・南極周回気球実験(BESS)」への取り組み』を紹介し、20年かけて実現した『夢』への体験をお伝えしたく思います。

      Speaker: 山本 明(CERN/KEK)
    • 15
      粒子検出器用超伝導電磁石(1)

      高エネルギー・原子核実験や宇宙線観測では粒子判別のために超伝導電磁石による強磁界空間が利用されています。SuperKEKBのBelle II検出器では直径3.4 m、長さ4.1 mの空間に1.5 Tの磁場が超伝導ソレノイドによって生成されています。講義ではこのBelleII用の超伝導ソレノイドを始めLHCで稼働中の検出器用超伝導電磁石を事例に挙げながら、アルミ安定化超伝導線など共通する技術項目の解説をします。また、宇宙線観測や原子核実験向けにも夫々の用途に応じた様々な超伝導電磁石が開発されており、それらに採用された技術要素の紹介もします。

      Speaker: 槙田 康博(KEK)
    • 09:50
      休憩
    • 16
      粒子検出器用超伝導電磁石(2)
      Speaker: 槙田 康博(KEK)
    • 10:50
      休憩
    • 17
      ヘリウム冷却システム

      超伝導を利用するには超伝導体で製作された機器を極低温に冷却する必要がある。
      極低温環境を提供する冷凍機にはいくつかの種類があるが、加速器のような比較的大規模な応用では、液化ヘリウムを利用する方法が一般的である。
      液化ヘリウムを供給するための冷凍システムや、断熱の仕組みについて解説する。
      また、いくつかの冷凍システムの例を紹介する。

      Speaker: 中西 功太(KEK)
    • 12:30
      昼休み
    • 施設見学(つくば or 東海)
    • 18
      g-2/EDM超伝導電磁石開発とMRIへの精密磁場技術(1)

      超精密磁場技術について、MRI用磁石とg-2/EDM磁石開発に応用している磁場設計と設置後の精密磁場調整の手法について述べる。トカマク装置のプラズマ安定化のため利用していた、磁場分布・電流分配を、特異値分解(SVD: Singular Value
      Decomposition)で得られる固有モード毎に制御・調整し、加算して必要磁場分布を得る方法を、精密磁場発生用磁石の設計と磁場調整に応用している。SVD固有モードの加算数を増加させることで磁場精度を高めることが出来る。しかし、固有モード数が多すぎると、磁場精度は非常に良くなるが、一方で、過大な電流密度が求められることもある。そのため、工学的に実現可能な範囲で精密磁場設計を行う。ここでは、磁石磁場設計と設置後の精密磁場調整(磁場シミング)、また、任意の3D目標磁場に対するコイル形状設計手法についても、実例を通して概要を説明する。

      Speaker: 阿部 充志(KEK)
    • 09:50
      休憩
    • 19
      g-2/EDM超伝導電磁石開発とMRIへの精密磁場技術(2)
      Speaker: 阿部 充志(KEK)
    • 10:50
      休憩
    • 20
      KAGRAの低温技術

      低温重力波望遠鏡(KAGRA)の鏡を冷却する目的は、鏡内部の熱雑音を抑制し、量子雑音レベルの計測を行うことにあります。大パワーレーザ光の照射を常に受ける干渉計の鏡は、鏡の基材と反射膜のわずかな光吸収が発熱源となって熱雑音が発生します。
      加えて、観測帯域中で鏡を自由質点として運動させるために鏡は振子状に懸架され、超高真空中に置かれます。このため、鏡の位置変化を生じさせない無振動の冷却法が要請されました。本講義では、KAGRAの鏡を無振動で20 Kまで冷却する低温設備を紹介します。

      Speaker: 木村 誠宏(ICRR)
    • 11:50
      昼休み
    • 21
      COMETと耐放射線超伝導電磁石開発(1)

      加速器の大強度化に伴い、ミューオン等を生成、輸送する2次ビームラインにも高い放射線耐性が要求されるようになっている。2次粒子を効率良く生成、輸送するためには、生成標的上またはその近傍に強磁場を印加することが必要である。近年、超伝導磁石を用いた2次ビームラインが開発、建設されており、J-PARCでも世界最大強度のミューオンビームを生成するためのCOMET超伝導磁石システムを建設中である。超伝導磁石を高放射線環境で運転する場合の問題点、設計の実際について説明し、さらに高い放射線性耐性の実現に向けた基礎研究について紹介する。

      Speaker: 吉田 誠(KEK)
    • 14:10
      休憩
    • 22
      COMETと耐放射線超伝導電磁石開発(2)
      Speaker: 飯尾 雅実(KEK)
    • 15:10
      休憩
    • 23
      サイクロトロンの超伝導化

      サイクロトロンは、等時性(静磁場中を周回する荷電粒子の周期が速度によらず一定である)の性質を利用して、シーケンシャルな加速を実現する加速器です。この加速に必要な磁場は、大方、常伝導磁石により生成されますが、省エネルギーや小型化を目指して超伝導磁石を用いる場合があります。1970年代にミシガン州立大学において、初めて超伝導サイクロトロンが建設され運転に成功しました。また、日本では、理研で大型の超伝導リングサイクロトロン(SRC)が建設され2007年から稼働しています。本講義では、超伝導サイクロトロンの歴史を辿るとともに、理研のSRCの設計や建設について説明します。最後に、将来的にどのような超伝導サイクロトロンが構想されているかについて触れたいと思います。

      Speaker: 奥野 広樹(RIKEN)
    • 16:10
      休憩
    • 24
      QST重粒子線治療用加速器の超伝導化

      QSTでは小型な重粒子線治療装置の開発プロジェクトを進めている。現在普及している重粒子線治療装置は60m×50m程度と非常に大きく、専用建物も必要となることから、治療施設の導入に多額の費用がかかってしまう。
      その課題を解決するため、超伝導電磁石により加速器を小型化することで、既存の病院建物内に設置できる20m×10mの装置サイズ実現を目指している。本セミナーでは、重粒子線治療装置について紹介するとともに開発中の超伝導電磁石について説明する。

      Speaker: 水島 康太(QST)