Description
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大強度陽子加速器施設J-PARCリニアックでは、負水素イオンビームを400MeVまで加速している。リニアックはイオン源及び4種類の加速空洞と電磁石で構成されており、加速空洞の種類はビーム速度の低い領域から順に高周波四重極線型加速器(RFQ)、ドリフトチューブ型線型加速器(DTL)、機能分離型加速器(SDTL)、環状結合型線形加速器(ACS)を採用している。東日本大震災から復旧後に一部のSDTLで運転電力付近での電力投入が反射の増大により正常にできない事象が発生した。空洞内表面を有機溶剤または希塩酸を用いて手作業で洗浄することにより問題を解決するに至った。本稿では2021年および2022年に行った希塩酸による酸洗浄の手法について報告する。
JT-60本体開発グループ 大型超伝導トカマク装置JT-60SAは初プラズマの点火を目指し、2023年5月から統合コミッショニングを再開した。プラズマ中に不純物が混入すると放射損失の増大によりプラズマ温度の低下や燃料ガスの希釈が起きてしまうため、プラズマ点火の前に壁洗浄をする必要がある。JT-60SAの真空容器にはグロー放電洗浄(GDC)の電極がトロイダル方向に3台設置されており、真空容器を陰極とした直流グロー放電により、花弁付着している不純物を除去する。水素GDCとヘリウムGDCを実施したので、放電特性と洗浄効果について報告する。
SuperKEKB加速器ビーム最終集束用超伝導電磁石システム(QCS)用、BelleⅡ検出器超伝導ソレノイド用ヘリウム冷却システムは、TRISTAN加速器ビーム衝突実験超伝導4極電磁石冷却用に1989年建設された機器を改造し使用している。ヘリウム冷凍システムの運転時間は13万時間を超えている。特に機械的な回転部を有するヘリウム圧縮機システムは全体的なオーバーホールを計画しており、その一環として2023年にヘリウム圧縮機の動力源である電動機の整備を行った。今回この報告とオーバーホール全体計画について報告をする。
ヘリウムはすべての元素の中で最低の沸点を持つため、寒剤として広く利用されているが、近年では価格が高騰している。本学では、極低温の液化ヘリウムを寒剤として使用したのち、ガスを回収して再液化するリサイクルを行うことで安価に供給している。ガスの保管量には限りがあり、液化が滞れば数週間であふれてしまう。そうなれば在庫があっても供給停止せざるを得ないため、液化設備の保守点検は重要である。東工大大岡山キャンパスの液化用圧縮機はKAESER社製DSDX302で、2011年3月に導入された。運転時間が8000時間を超えたため、メーカーの推奨する各種部品の点検・交換を行ったので、これについて発表する。