OHO'23

Asia/Tokyo
3号館セミナーホール (KEK)

3号館セミナーホール

KEK

Description
日時:2023年9月5日(火)〜8日(金)
 
会場:高エネルギー加速器研究機構 つくばキャンパス+ Zoomによるハイブリッド
 
参加費:無料 テキスト購入者 2,000円(「講義資料・テキスト」参照)
申込期間:6月1日〜8月23日(テキスト希望者は厳守)
 

共催:高エネルギー加速器科学研究奨励会(FAS)、高エネルギー加速器科学研究機構(KEK)

 高エネルギー加速器セミナーOHOはこれからの高エネルギー加速器をになう若手研究者の育成と、一般企業の研究者の加速器科学への理解を深めることを目的として1984年より毎年開催しており今年で第40回目となります。
 今年のテーマは「標的と2次ビーム」です。セミナーの最初の講義では2次ビーム生成に欠かせないプロセスである放射線と物質の相互作用についてお話して頂きます。次に陽電子、ミュオン、ハドロン、中性子、ニュートリノなどの2次ビームとそのビームを作り出すための必要な標的についての講義が続きます。今回のOHOはKEK内外からそれぞれの分野の第一線でご活躍中の講師の方々から様々なビーム利用についてのお話をオムニバス的に伺うことができるまたとない機会です。
 またセミナー中盤では夜話として「宇宙線ミュオンによるピラミッド探索」と題して佐藤康太郎高エネルギー加速器研究機構名誉教授にご講演をお願いしました。大気圏に突入する宇宙線(1次宇宙線)は空気(窒素や酸素の原子核)と相互作用して、ミュオンなどの2次宇宙線を発生させます。この2次ビームとしてのミュオンを利用したピラミッド内部の探索についてのお話も非常に興味深い内容になるものと期待しております。
 この4日間の集中セミナーを通して共に標的と2次ビームについて学んでいきたいと思います。
皆様奮ってご参加ください。(増澤美佳)

 

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問合せ先
    • 受付、開会
    • 1
      放射線と物質の相互作用(1)

      2次ビームを実験に使用するためには、加速器で加速された粒子ビーム(1次ビーム)を標的に入射し、電磁相互作用による反応や原子核反応によって2次ビームとなる粒子を生成する必要がある。その際、標的中で1次ビームが多くのエネルギーを失うため、2次ビームとして使用する、目的とする粒子の他に色々な種類の粒子が生成する。高いエネルギーを持つ粒子(光子を含む)は放射線と呼ばれる。
      本講義では、原子、原子核の構造、2次ビーム生成に伴い発生する放射線の種類、および放射線と物質の相互作用について、初学者を対象に説明する。

      Speaker: 山崎 寛仁 (KEK 共通基盤研究施設 放射線科学センター)
    • 2
      放射線と物質の相互作用(2)
      Speaker: 山崎 寛仁 (KEK)
    • 11:30
      昼休み
    • 3
      低速陽電子ビームの生成と物質研究への応用

      C. Andersonが1932年に霧箱で見出した陽電子は、1950年代には物質研究への応用が開始された。当初放射性同位体からの広いエネルギー分布を持つ「白色」陽電子が用いられたが、1980年代半ばから負の仕事関数を利用した陽電子に独特の方法によるエネルギー単色化技術が確立し、陽電子ビーム(低速陽電子ビーム)を用いた物質研究が盛んになった。その後原子炉や加速器を用いたより高強度の低速陽電子ビームの生成が可能となり、陽電子回折や、陽電子と電子の水素原子様束縛状態のポジトロニウムに関する研究が新たな展開をむかえている。本講義は、KEKの加速器を用いた高強度低速陽電子ビームの生成・輸送技術とその物質研究への応用を中心に解説する。

      Speaker: 和田 健 (KEK 物質構造科学研究所 低速陽電子実験施設)
    • 4
      ミュオン生成ターゲット
      Speaker: 的場 史朗 (KEK)
    • 15:00
      coffee break
    • 5
      ミュオンビームライン(1)

      2008年より稼働を開始したJ-PARC物質・生命科学実験施設ミュオン実験施設(MUSE)では中性子生成標的の約30m上流に2cmの厚さの黒鉛を設置し、世界最大強度のパルス状ミュオンビームを生成している。より多くのユーザーの多様な要望に応えるため、標的から延びる4本のビームラインは、引き出し可能なミュオンの電荷、エネルギー幅、ビーム強度等に各々特色のある設計となっている。本講義ではJ-PARCの各ビームラインとそこで展開するミュオン科学との関係や、世界の主要なミュオン実験施設との比較など交えながら、ミュオンビームラインの設計・開発に関する概要を紹介する。

      Speaker: 河村 成肇 (KEK)
    • 6
      ミュオンビームライン(2)
      Speaker: 河村 成肇 (KEK)
    • 7
      HD中性二次ビームライン(1)

      J-PARC ハドロン実験施設で行っているKOTO実験は中性K中間子の稀崩壊事象を観測することて、いまだに見つかっていない新物理の発見を目指している。この崩壊の分岐比は高い精度で計算され、30億分の1となっている。非常に小さい分岐比は新物理の発見を容易にさせるが、測定のためには特化した検出器とビームラインを用いた実験が必要である。本講義では、KOTO実験及び中性ビームラインを紹介する。

      Speaker: Lim Gei Youb (KEK)
    • 8
      HD荷電二次ビームライン

      HD荷電二次ビームラインJ-PARCハドロン実験施設では、主リングで加速された一次陽子ビームを生成標的に当てmそこで発生するπ中間子、K中間子、反陽子などの様々な粒子を二次ビームとして実験室まで輸送して、素粒子原子核分野の実験研究に利用している。本講義では、現在運用中、または将来建設予定の荷電二次ビームラインについて、そこで行われる実験の内容も簡単に触れながら、それぞれのビームラインの特色とその設計を紹介する。

      Speaker: 髙橋 仁 (KEK)
    • 11:00
      cofee break
    • 9
      HDターゲット

      J-PARCハドロン実験施設では、主リングで加速された一次陽子ビームを生成標的に当てmそこで発生するπ中間子、K中間子、反陽子などの様々な粒子を二次ビームとして実験室まで輸送して、素粒子原子核分野の実験研究に利用している。本講義では、現在運転している固定型標的の設計の詳細と、開発中の回転標的のR&Dの現状を紹介する。

      Speaker: 髙橋 仁 (KEK)
    • 12:10
      昼休み
    • 10
      中性子生成ターゲット

      中性子をプローブにする物質科学研究や生命科学研究は、強度重視の科学とも言われ、中性子源には、高い中性子強度を求められる。陽子ビームを利用した核破砕中性子源の場合は、陽子ビーム出力に大きく依存するが、中性子源構成の最適化と適切な工学設計により、中性子強度を大きく上げることができる。
       本講義では、J-PARC核破砕中性子源を主として、陽子ビーム入射から中性子ビーム供給までの中性子生成過程を説明し、中性子生成ターゲットの種類とその性能、その最適化について、講義を行う。

      Speaker: 原田 正英 (JAERI)
    • 11
      中性子ビームライン

      J-PARC物質・生命科学実験施設MLFでは、中性子源を取り囲むように、23本の中性子ビームラインを設置し、うち、21本に中性子分光器を設置して、それぞれ特色ある実験研究を推進している。本講義では、中性子ビームラインのうち、BL12に設置した高分解能チョッパー分光器HRCを例にとり、実験研究や装置構成を紹介する。

      Speaker: 伊藤 晋一 (KEK)
    • 15:30
      cofee break
    • 12
      宇宙線ミュオンによるピラミッド探索(夜話)

      宇宙線ミュオンを使って大ピラミッドを透視するというScan Pyramid計画が2015年頃に立ち上がりました.三つの研究機関チーム、名古屋大学、フランス原子力庁(CEA)、KEKがそれぞれ別種のミュオン検出器を用い互いに独立に解析を行うことによって一般の人にも説得力のある結果を得て、ミュオン透視の有効性を理解してもらおうというものでした.
      KEKはミュオン検出にプラスチックシンチレータとMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)の組み合わせを用いています.KEKは2016年の夏にクフ王ピラミッドの女王の間に設置し観測を開始しました.同じ場所で名古屋大学は原子核乾板を用いてKEKよりも早くから観測を始めていて、大回廊の上に大きな空洞(Big Void)を観測し、その後KEKも確認し、共同チームとして2017年に科学論文を発表しました.
      KEKの観測結果について概要と、課題について、個人的な話をしてみます.

      Speaker: 佐藤 康太郎 (KEK)
    • 13
      NUターゲット

      J-PARCニュートリノ実験施設は、長基線ニュートリノ振動実験のために大強度ニュートリノビームを生成している。30GeVに加速された陽子ビームを黒鉛標的に照射して生成される荷電パイ中間子を電磁石により収束し、パイ中間子の崩壊から得られるニュートリノを実験で用いる。300km先に設置されているニュートリノ検出器で加速器由来のニュートリノを時間情報により同定するために、大強度陽子ビームは早い取り出しにより標的に一度に照射される。高い熱衝撃耐性が求められるJ-PARCニュートリノ生成標的の構造と運転実績について解説する。

      Speaker: 中平 武 (KEK)
    • 14
      NU二次ビームライン
      Speaker: 多田 将 (KEK)
    • 11:00
      coffee break
    • 15
      RIビームラインと生成ターゲット

      RIビームラインは、加速器で加速された安定な原子核ビームから核反応によって不安定な原子核を作り出し、その中から特定の原子核を選び出して集めてビームとするものです。理研の超伝導RIビーム分離生成装置BigRIPSは、2007年に稼働をはじめた、世界で最も高い強度のRIビームを生成しているRIビームラインです。講義では、核反応で生成した多様な原子核の中から特定の原子核をどのようにして選び出すのかその原理に触れたのち、RIビームの生成ターゲットにみられる特徴について説明します。

      Speaker: 吉田 光一 (RIKEN)
    • 昼休み
    • 施設見学: KEKつくばキャンパス
    • 16
      加速器施設の多角的活用

      現在、加速器施設のインフラを最大限に活用し、その施設に対する新しい価値を生み出そうという動きが、世界的に活発に行われている。本セミナーでは、それらについてレビューし、またKEKの科学的および産業的な付加価値を高めるために、どのような取り組みが可能か議論したい。
       特に、高エネルギー物理の業界では上のような取り組みのことを Physics Beyond Colliders と呼び、コライダー実験以外の新しい実験が多く提案されている。近年、KEKが推進するILCプロジェクトに関しても同様の議論が行われ、施設拡張に関する様々な提案がなされた。それらに関しても紹介したい。

      Speaker: 坂木 泰仁 (KEK)
    • 10:30
      coffee break
    • 17
      偏極電子ビーム(1)
      Speaker: LIPTAK ZACHARY (Hiroshima Univ.)
    • 18
      偏極電子ビーム(2)
      Speaker: LIPTAK ZACHARY (Hiroshima Univ.)
    • 閉会
    • 施設見学: 東海キャンパス