拝啓、時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
高エネルギー加速器研究機構・放射線科学センターでは、応用物理学会・放射線分科会との共催で表記研究会を開催致します。本研究会は今回で39回目の開催となりますが、国内では検出器の基礎的物理化学的過程から検出器開発、放射線計測技術にいたる広範なテーマをそれぞれの分野の研究者が集まって議論する機会が少なく、これを主眼とした本研究会は特色あるものと考えております。
多数の方々のご参加をお願いし、ご講演を募集致します。
敬具
高エネルギー加速器研究機構 放射線科学センター
開催日時: 2025年 1月 27日(月)、28日(火)
開催形式: ハイブリッド(現地開催とWeb開催)
※口頭発表及び、ポスター発表を予定しております。
講演募集テーマ:
「放射線検出器とその応用」に関わる下記のテーマ
・放射線検出器に関する物理・化学的基礎過程、並びに物性
・検出器の設計開発、検出器や放射線計測技術に関する最近の進歩と展望
・微量放射線(能)測定技術、並びに線量計測と評価、等
締切のご案内:
講演申込締切 : 2024年 12月 13日(金) 延長しました。 2024年 12月 27日(金)
予稿原稿締切 : 2025年 1月 10日(金)
参加申込締切 : 2025年 1月 17日(金)
・研究会参加費:一般 (現地参加) 1000円(課税対象外)、学生 無料
旅費補助やKEK内宿泊施設の利用をご希望の方:
参加申込の時に旅費の補助申請を選択して下さい。後日に研究会事務局から案内をご連絡させていただきます。ただし、全ての希望者の方に宿泊施設・旅費補助がご利用頂けることをお約束するものではございません。予めご了承下さい。
講演申込、研究会の詳細等に関する問い合せ先:
〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1
高エネルギー加速器研究機構
佐波俊哉(研究会世話人)
電話:029-864-5490 Fax:029-864-1993
研究会事務局 Mail:rd2025@ml.post.kek.jp
本研究では、加速器BNCTシステムにおける中性子周辺線量モニタの熱中性子検出器として、LiCAFシンチレータのサイズを検討した。LiCAF結晶を4つの異なるサイズに加工し、KURのE-3熱中性子導管にて照射を行った。ガンマ線ノイズ弁別性及び検出感度の結果から、最適なLiCAFを選定した。
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)において治療箇所をリアルタイムで評価するため、シンチレータおよびガンマ線検出器を開発している。評価方法にはシンチレーション発光の信号強度(電流値)を利用するため、S/N比の関係から高いガンマ線発光量をもち、エネルギー応答の非線形性の良いシンチレータが求められる。そこで、NPR改善のためTlとSrを共添加したCs3Cu2I5結晶を育成し、発光特性を評価した。さらに、京都大学複合原子力研究所のE-3導管にてBNCT模擬実験を行った。
ホウ素中性子捕捉療法(以降 BNCT)の大強度中性子源が研究用原子炉から加速器ベース中性子源へ置き換わることで、病院内でもBNCTが可能になって。加速器BNCT中性子源は、数mAの陽子ビームをリチウムやベリリウムターゲットに照射して中性子を発生させ、CaF2などの中性子減速材で数10keVの熱外中性子に減速している。この中性子ビームを患者に照射している。BNCTの安全性を向上させるために、発生中性子フラックスを治療照射中でもリアルタイムにモニタリングすることが求められている。エックス線治療ではエックス線量をリアルタイムにモニタリングできていることを、中性子治療でも同様に実施したいと考えられている。現在は、治療照射前に照射ビーム強度を金中性子放射化法により受動的に計測評価し、ターゲットへの照射陽子ビーム電流をモニタリングすることで間接的に治療照射中の中性子フラックスの変化をモニタリングしている。この手法は中性子発生ターゲットに異常がないこと、照射ビーム電流と発生中性子フラックスの相関が変化しないことが前提となる。しかし、リチウムターゲットを用いた場合、ターゲット損耗により中性子発生量が減少する。このBNCT中性子源の発生中性子フラックスをリアルタイムにモニタリング可能な手法を開発続けてきた。
放射線治療は患者に高精度に制御された放射線を投与しなければならない。治療投与線量の精度は、International Commission on Radiation Units and Measurements (ICRU)により± 5%が要求されている。この5%の精度がビームモニタリングに要求される。本中性子ビームモニタリング手法を用いることでICRUが要求するビームモニタリング精度を満足することができた。これらの結果について報告する。
BNCTで使用される中性子源には人体に有害な高速中性子が含まれており、その被ばく量を推定するために高速中性子束強度を測定する必要がある。そのため本研究では、放射化箔に対して減速材と遮蔽材を適切に組み合わせることによって、高速中性子に対してのみ一定の感度を持つ高速中性子束絶対強度検出器を開発した。実際にBNCT生体照射が行われている京都大学研究用原子炉にて作製した検出器の検証実験を行った。
宇宙・素粒子物理学の基礎過程を探索するためには、放射性不純物が数ppt以下となる超高純度の放射線検出器を使用する必要がある。PICOLONグループでは、これまで複数のシンチレータ結晶の純度向上に取り組んでおり、純化に関する様々な手法を組み合わせて高純度結晶の開発に成功している。本講演では高純度結晶開発の現状について報告し、宇宙暗黒物質探索に対する感度向上の展望について議論する。
徳島大学が主導するPICOLON実験はNaI(Tl)シンチレータを用いて暗黒物質探索とDAMA/LIBRAの季節変動の検証を目標としている。本報告では今年度におけるPICOLON高純度NaI(Tl)による宇宙暗黒物質探索の現状について報告する。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、治療用中性子ビームの品質保証に金の放射化法が用いられている。しかし、金の放射化法は測定結果を得るまでに時間を要するため、リアルタイムに測定可能な中性子センサーが要望されている。シリコン半導体を用いたリアルタイム中性子センサーを改良し、この測定精度を品質管理に求められる精度に向上した。
ホウ素中性子捕捉療法で患者に照射する中性子ビームの品質を保証するため、中性子の深度分布評価が必要である。現状、金線を用いた金中性子放射化法が主流となっているが、多大な時間を要してしまうという課題がある。本研究は、アルミニウムの中性子放射化法とイメージングプレートを併用した深度分布を計測評価する手法を提案した。アルミニウム放射化法はピーク領域付近で±1.0%の差異で金放射化法を再現でき、良い一致が見られた。
バルクの放射性廃棄物に対し、放射性物質の三次元位置分布を測定することができれば、対象物の効果的な除染を検討可能になる。そこで廃棄物として黒鉛ブロックからCo-60ガンマ線が観測されたと仮定して、ブロック内部のCo-60の分布を3次元で計測するイメージング手法の開発を試みた。対象領域の一部では再構成が可能であることが実験により確認された。
phitsシミュレーションを用いて、60Co線源からのガンマ線をビーム状にコリメートし、配管に照射した。ビーム照射体系や検出器コリメータなど幾何学配置に関する詳細な検討を実施した。
放射線治療では腫瘍周辺の正常細胞への線量を下げる必要がある。しかしながら人体内部の各組織は呼吸などにより移動しており、特に消化管器系の運動のモニタリング技術は未確立である。そこで我々は、ガンマカメラを用いて治療用放射線の散乱線による消化管内空隙の移動の検知を提案している。
ニュースバルBL01は世界的に稀有なLCSガンマ線源である。現在、BL01の性能向上を目的として研究を行っている。本発表では、光学系最適化によるガンマ線強度向上、高出力レーザー導入、Geant4計算との比較について報告する。
CaF₂中のU,Thの質量分析の手法を確立し、その手法を用いて帯融精製を行ったCaF₂結晶中におけるU,Thの偏在を分析した結果について報告する。
フィルタ交換装置と汎用二次元検出器で構成されるtransXend検出器を用いたエネルギー分解CTは,被検体の各投影角度に対しフィルタの数と同数の投影データが必要であり被ばく量が増加する課題がある。投影角度数を減らすと被ばく量を低減できるが再構成画像の画質も悪くなる.今回,Bilateral Filterを用いることで画質を維持しつつ投影角度数を減らし被ばく量を低減する手法を考案したので発表する。
7Li(p,γ)8Be反応から放出される高エネルギーガンマ線を用いた核物質検知技術の開発を行っている。光核反応からの中性子を検出することで核物質を検知する。予備実験の結果について報告する。
われわれは有機、無機に限らず幅広いシンチレータ材料の開発とその放射線計測応用に取り組んでおり、本講演では今年度の進捗として、福島第一原子力発電所での事故対応、医療応用、新しいX線撮像にかかる技術開発について、その取り組みを紹介する。
RMS-eは、次期静止気象衛星ひまわり10号に搭載される予定の宇宙用高エネルギー電子計測装置である。本発表ではRMS-eの開発状況と、RMS-e EMに対して実施された照射試験の結果等について報告する。
CR-39固体飛跡検出器は中性子個人線量測定で広く利用されている。長瀬ランダウアでは本検出器の自動測定システムを開発し、これをBNCTでの中性子線量測定に応用してきた。
長瀬ランダウア社製の固体飛跡線量計(CR-39線量計)の測定システムを高精度化し、国際規格に準拠させるため、中性子エネルギー推定可能なアルゴリズム開発を行った。
3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuは2024年4月からの供用運転を開始した。電子ビームロスの情報は加速器の運転上および放射線安全上、重要である。いつ、どこで、どの程度発生したかが分かれば原因の解明に役立つ。そこで、電子ビームロスを測定するために、Mirion Technology社のDMC3000(中性子モジュール付き)線量計を加速器トンネル内に設置し、運転中における線量の時系列測定を行っている。実測できたビームロスの事例を踏まえて測定結果について報告する。
単色中性子源と6Li濃縮CLYCシンチレータを用いて、35Cl(n,p)断面積を測定した。単色中性子源には日本原子力研究開発機構放射線標準施設の高速中性子照射施設を利用した。中性子エネルギーは、0.565 MeV, 1.2 MeV, 5.0 MeVである。標的原子核はCLYCシンチレータを構成する塩素原子核である。中性子イベントは波形識別法を適用し弁別測定した。得られた波光分布から陽子イベントを特定し断面積を導出した。