Speaker
奥野 広樹(RIKEN)
Description
サイクロトロンは、等時性(静磁場中を周回する荷電粒子の周期が速度によらず一定である)の性質を利用して、シーケンシャルな加速を実現する加速器です。この加速に必要な磁場は、大方、常伝導磁石により生成されますが、省エネルギーや小型化を目指して超伝導磁石を用いる場合があります。1970年代にミシガン州立大学において、初めて超伝導サイクロトロンが建設され運転に成功しました。また、日本では、理研で大型の超伝導リングサイクロトロン(SRC)が建設され2007年から稼働しています。本講義では、超伝導サイクロトロンの歴史を辿るとともに、理研のSRCの設計や建設について説明します。最後に、将来的にどのような超伝導サイクロトロンが構想されているかについて触れたいと思います。