Speaker
風間 慎吾
(名古屋大)
Description
暗黒物質の存在は、宇宙の進化や天体の観測により疑いがなく、宇宙背景放射の観測結果によると宇宙の物質の80%以上を占めることが判明しているが、その性質は現在も未知のままである。暗黒物質の有力な候補としてこれまで精力的に探索されてきたのが、WIMPと呼ばれる質量が重く、非常に弱い相互作用を持つ素粒子である。このWIMPの有力な探索手法として、WIMPが検出器中の原子核を跳ね飛ばす現象を探索する直接探索と呼ばれる方法があり、2021年より液体キセノンを約10トン用いたXENONnT/LZの二つの実験が稼働を始め、太陽・大気ニュ ートリノのコヒーレント散乱の観測に遂に手が届く感度に迫ろうとしている。本講演では暗黒物質直接探索の今と未来について紹介するとともに、液体キセノン検出器が今後開拓する様々な物理について議論を行う。