[IPNS workshop]素粒子物理の今と未来

Asia/Tokyo
KEK Kobayashi Hall
Description

*参加者にzoomリンクを連絡しました。メールが来ていない方は nojiri@post.kek.jp にご連絡ください。

*参加登録は12時ごろから開始します。

*体調不良の方はzoom をご利用ください。

*多くの方がzoom 接続されます。KEK の方は会場参加を推奨します。

https://kek-jp.zoom.us/j/91839250204?pwd=dkdaM0hRalVmWGpjUkZmdFFzT01qUT09

ミーティング ID: 918 3925 0204
パスコード: 563186

 

 

本研究会では、高エネルギー物理学、素粒子理論等の研究の中心となる若手に、現在の研究の学術上の位置付け、成果を自由に語ってもらい、そこを起点とする議論から未来の展望を共に考えることを目的とします。

素粒子実験や宇宙の観測によってまとめられた素粒子標準模型や標準的な宇宙の歴史には、多くの綻びが存在します。理論的に指摘されている真空の不安定性や、暗黒物質の性質、物質の起源などの根本的な問題に挑戦するために、多くの素粒子実験が並行して進められています。国内では、Belle II 実験、ニュートリノ実験、Kaon、muon, neutronなど素粒子のフレーバーを手がかり新しい物理を探索する実験が進行中であり、国際的には最高エネルギー衝突実験であるLHC実験がヒッグス粒子の性質の測定や、新物理の探索を行なっています。暗黒物質の探索は、従来からの巨大な測定器を使った探索実験に加えて、軽い暗黒物質を想定したダークセクターの探索が活性化しています。またミューオンg-2のアノマリーのように現在の標準模型では理解できない現象もあります。

本研究会をきっかけに、素粒子物理の現在・未来をあらためて俯瞰し、これからの素粒子・宇宙研究が進むべき方向を見出すことを目指します。

 会場は研究本館・小林ホール(定員248名)です。

参加登録を締め切りました。

懇親会、お弁当代について、確認をお願いするメールを送っています。受け取っていないかたはnojiri@post.kek.jpまでご連絡ください。
 

参加費用 コーヒー代(全員) 500円

初日懇親会参加費用 4000円

最終日の弁当を注文された方は1000円をお支払いください。

現金でお釣りがないようにお願いします。

 

 

主催:素粒子原子核研究所

発起人:飯嶋徹(名古屋大学)市川温子(東北大学)野尻美保子(KEK,コンタクト)

世話人:[実験]石川明正(KEK)石野雅也(東京大学)田島治(京都大学)中浜優(KEK)

        南條創(大阪大学)横山将志(東大)[理論]遠藤基(KEK)浜口幸一(東京大学)

この研究会は素粒子原子核研究所の主催ですが、一部、学術変革(A) 「学習物理学」のサポートも受けています。

 

 

Participants
  • Aimi Kusudo
  • Airu Makita
  • Akihiro Kato
  • Akira Sato
  • Akitaka Ariga
  • Arata Ishige
  • Atsuhiro Umemoto
  • Atsushi Tokiyasu
  • Aya Ishihara
  • Ayami Hiramoto
  • Chihiro Kawamoto
  • Daiki Hayakawa
  • Daniel Jeans
  • Erika Yamashita
  • Fukuko YUASA
  • Fumiaki Otani
  • Fumihiro Takayama
  • Fumikawa Uran
  • Fuminobu Takahashi
  • Gaku ISAGO
  • GeiYoub LIM
  • Gi-Chol Cho
  • Hajime Nanjo
  • Hanwook Bae
  • Haruka Asada
  • Haruki Kindo
  • Haruki Takahashi
  • Hidenaga Watanabe
  • HIDEYUKI NAKAZAWA
  • Hideyuki Oide
  • Hiroaki Sugiyama
  • Hirohiko Shimizu
  • Hiroko Watanabe
  • Hiromi Iinuma
  • Hironao Miyatake
  • Hironobu Nakata
  • Hiroshi Ito
  • Hirotaka Sugawara
  • Hisataka Yoshida
  • Hitoshi Murayama
  • Ichiro Adachi
  • isamu nakamura
  • Junewoo PARK
  • Junichi Tanaka
  • Junji Hisano
  • Junya Hikida
  • Kaito Sugizaki
  • KATSUHIKO SATO
  • Katsumasa Ikematsu
  • Katsuro Nakamura
  • Kazuhiro Tanaka
  • Kazuhito Suzuki
  • Kazuki Sakurai
  • Kazuki Ueno
  • Kazutaka Sumisawa
  • Kei Yamamoto
  • Kei-Ichi Kondo
  • Keiko Nagao
  • Keisho Hidaka
  • Keisuke Nagano
  • Kenji Inami
  • Kenta UNO
  • Kodai Matsuoka
  • Kohei Yorita
  • Kohji Hirata
  • Koichi Hamaguchi
  • Koichiro Matsumoto
  • Koji Hara
  • Koji Nakamura
  • Koji Noda
  • Koji Shiomi
  • Koji Terashi
  • Komori Ryotaro
  • Kota Nakagiri
  • Kotaro Saito
  • Koutarou Kyutoku
  • Kunihiro Nagano
  • Kyohei Mukaida
  • Lakmin Wickremasinghe
  • Maeno Reita
  • Makoto Kobayashi
  • Makoto Shimojima
  • Makoto Takizawa
  • Makoto Tomoto
  • Manabu Moritsu
  • Manabu TOGAWA
  • Masaaki Kitaguchi
  • Masaaki Tomii
  • Masahiko Saito
  • Masahiro Morinaga
  • Masahiro TAKEDA
  • Masahito Yamazaki
  • Masaki Kawaue
  • masaki TANIDA
  • Masaki Yamashita
  • Masashi AIKO
  • Masashi Hazumi
  • Masashi OTANI
  • Masashi Yokoyama
  • Masato Kimura
  • Masaya Hasegawa
  • Masaya Ishino
  • Matsuo Sato
  • Mayumi AOKI
  • Mihoko NOJIRI
  • Mikihiko Nakao
  • Misaki Sube
  • Mitsuru Kakizaki
  • Miyu Wako
  • Motoi ENDO
  • Nagisa Hiroshima
  • Naohiro Osamura
  • Naohito SAITO
  • Naoki Otani
  • Naoki Yamamoto
  • Naoki Yamatsu
  • Nene Horikawa
  • Nobuo Iida
  • Nobuyuki Kawai
  • Osamu Tajima
  • Reiko Orito
  • Riku Nomaru
  • Ryo Kitamura
  • Ryo Matsumoto
  • Ryo Nagai
  • Ryogo Okubo
  • Ryosuke Itoh
  • Ryota Matsushita
  • Ryotaro Muto
  • Ryoto Takai
  • Ryu Sawada
  • Ryusuke Jinno
  • Sayuka Kita
  • Shigehiro Nagataki
  • Shigeki Hirose
  • Shigemi Ohta
  • SHIJIE WANG
  • Shima Shimizu
  • Shingo Kazama
  • Shinnosuke Kato
  • Shinsuke KAWASAKI
  • Shion Chen
  • Shiori Yabe
  • Shogo NAKAMURA
  • Shohei NISHIDA
  • Shohei Okawa
  • Shoji Asai
  • Shoji Hashimoto
  • Shota Kondo
  • Shotaro Kawanago
  • Shuji Tanaka
  • Shun-ichiro Koh
  • Shunsuke Adachi
  • Shunsuke KUROKAWA
  • Shusei Kamioka
  • Soki Fukuda
  • Tadaaki Isobe
  • Tadashi Nomura
  • Taichiro Koga
  • Taikan Suehara
  • Taiki Sato
  • Takahiko Masuda
  • Takahiro Kubota
  • Takahiro Mizuno
  • Takashi Kaneko
  • Takashi SAKO
  • Takashi Shimomura
  • Takayuki SUMIYOSHI
  • Takeo Higuchi
  • Takeo Moroi
  • Takeshi Chikamatsu
  • Takeshi Komatsubara
  • Takuto Kunigo
  • Takuya Tashiro
  • Tamaki Yoshioka
  • Tatsuya Kikawa
  • Tatsuya Masubuchi
  • Teppei Kitahara
  • Tetsuo Shidara
  • Tetsuo Shindou
  • Tetsuro Nakagawa
  • Tetsuya Takaishi
  • Tohru Takeshita
  • Tom Haruyama
  • Tomohiro Eda
  • Tomoko Ariga
  • Tomonori Ikeda
  • Tomoyuki Saito
  • Tomoyuki Shimasaki
  • Toru Iijima
  • Toshiaki Inada
  • Toshiaki Kaji
  • Toshinori Mori
  • Toshio Namba
  • Toshiyuki Iwamoto
  • Tsunayuki Matsubara
  • Tsutomu Mibe
  • Tsuyoshi NAKAYA
  • TSUYOSHI SUWADA
  • Wataru Ootani
  • Yasuhiro Maruya
  • Yasuhiro Nakajima
  • Yasuo Arai
  • Yasushi Nara
  • Yasuyuki Horii
  • Yo SATO
  • Yohan Lee
  • Yoshiaki Seino
  • Yoshiaki Tsujikawa
  • Yoshifumi Narukawa
  • Yoshiki Uchida
  • Yoshinori Fukao
  • Yoshiyuki Onuki
  • Yosuke Yusa
  • Yu Nakazawa
  • Yujiro Ogawa
  • Yuki Fujii
  • Yuki Mitsumori
  • Yuki Sakurai
  • Yuki Sue
  • Yuma Furuta
  • Yuma Uematsu
  • Yusuke Uchiyama
  • Yuta Hamada
  • Yuta Okazaki
  • Yuta Takinami
  • Yutaka Ushiroda
  • Yutaro Iiyama
  • Yutaro KASAI
  • Yutaro Sato
  • Yuzuho Komori
  • Zihan Wang
  • 優 中浜
  • 和﨑 晃平
  • 温子 市川
  • 石川 明正
  • 裕治 高田
  • 謙吉 宮林
  • 雅也 石野
    • 1
      挨拶(on line)
      Speaker: 斎藤 直人
    • 2
      はじめに
      Speaker: Masaya Ishino
    • 3
      誰がためのエネルギーフロンティア

      このような特別な催しに際して「好きなことを勝手に話す」機会を頂いたということで,お題の「LHC」を少しだけ逸脱して,通常の場ではほとんど扱わないテーマを問いとして掲げてみたい.それはこの方向性の「学問」が存立できる根拠(存立理由)を考えるということである.この分野の数十年の発展が,一回きりの資源(例:新粒子の発見)を燃焼することで,幸運にも自己再帰的に次の爆発のdriving forceを生み出してきた構造(≒急激に増大するエントロピー)にあったことは否定しにくい.それが今後も起こる「保証」がもはや失われた現在,問うべきは「内在的な情熱の熱源」をどこに求めるか,ではないかと思う.その熱源の熱量と,物理的に消費するエネルギー+労力のバランスが,フロンティアの到達点を定めると思われるからである.これから何かの戦略を立てる前に,われわれには,この分析・研究が不足していると思っているのだが,それを考えるための正しい方法論を,果たしてわれわれは持ち合わせているのだろうか?

      Speaker: 生出 秀行 (KEK)
    • 4
      LHCビーム軸方向でのニュートリノ研究および新粒子探索

      LHCでは陽子・陽子衝突点の周囲に大規模検出器を配置した実験が行われているが、それらの実験ではカバーされないビーム軸方向での研究は進んでいなかった。我々はビーム軸方向での新粒子探索や3世代ニュートリノの研究による新物理発見の可能性に着目し、衝突点から480m地点に小型検出器を配置するFASER実験を立ち上げた。LHC第3期 (2022-2025) に実施しているFASER実験の初期成果、および並行して取り組んでいる高輝度LHCに向けた新たな大規模施設 Forward Physics Facility (FPF) 建設計画について議論する。

      Speaker: 有賀 智子 (九州大)
    • 14:30
      Break
    • 5
      Dark Matter in the Universe

      宇宙のエネルギー密度の約25%を占める暗黒物質の正体は未だ不明である。Weakly Interacting Massive Particle(WIMP)と呼ばれる粒子が長年有力と目されてきたが、加速器実験・直接探査実験・間接探査実験のいずれでもその証拠となる事象はまだ得られていない。WIMPに許されるパラメータ領域が確実に狭められていく中で、WIMP以外の暗黒物質探査の動きも活発化しつつあるが、そのモデル空間は広大である。本講演では宇宙での暗黒物質の姿とその位置付けに焦点を当て、特に今後包括的な描像を確立していくための鍵となりうる暗黒物質ハローの物理とその周辺について説明する。関連研究の動向についても紹介予定である。

      Speaker: 広島 渚 (富山大)
    • 6
      ニュートリノ振動・陽子崩壊実験の展望+α

      現在運転中のスーパーカミオカンデはニュートリノ振動実験、陽子探索実験において世界を先導してきた。それを更に大型化,高性能化したハイパーカミオカンデではより高感度での実験が可能となり、ニュートリノ振動におけるCP対称性の破れの確認や陽子崩壊の初観測等の成果が期待される。本講演ではスーパーカミオカンデにおけるニュートリノ、陽子崩壊研究の現状とハイパーカミオカンデで期待される展望等について述べる。

      Speaker: 田代 拓也 (ICRR)
    • 16:20
      Break
    • 7
      地球ニュートリノ観測による地球内部熱量理解の今と未来

      地球活動を駆動する熱量の約半分を占める地球内放射性物質起源の熱量の理解は、地球ニュートリノ観測という素粒子物理・地球科学の分野融合研究として進展してきた。世界中で行われているニュートリノ実験の中でもKamLAND実験は2005年の世界初観測以降、現在でも世界最高精度での観測を安定的に継続しており、日本発の融合研究分野とも言える。本講演では「ニュートリノ地球科学」の今と未来をニュートリノ実験の立場から紹介し、新たな研究発展への議論へと繋ぎたい。

      Speaker: 渡辺 寛子 (東北大)
    • 8
      暗黒物質直接探索の現状と展望

      暗黒物質の存在は、宇宙の進化や天体の観測により疑いがなく、宇宙背景放射の観測結果によると宇宙の物質の80%以上を占めることが判明しているが、その性質は現在も未知のままである。暗黒物質の有力な候補としてこれまで精力的に探索されてきたのが、WIMPと呼ばれる質量が重く、非常に弱い相互作用を持つ素粒子である。このWIMPの有力な探索手法として、WIMPが検出器中の原子核を跳ね飛ばす現象を探索する直接探索と呼ばれる方法があり、2021年より液体キセノンを約10トン用いたXENONnT/LZの二つの実験が稼働を始め、太陽・大気ニュ ートリノのコヒーレント散乱の観測に遂に手が届く感度に迫ろうとしている。本講演では暗黒物質直接探索の今と未来について紹介するとともに、液体キセノン検出器が今後開拓する様々な物理について議論を行う。

      Speaker: 風間 慎吾 (名古屋大)
    • 9
      懇親会
    • 10
      我々の宇宙のための超弦理論

      超弦理論は量子重力の理論である一方、豊富な数学的内容をもつ精緻な理論であり、それ自体大変興味深い研究対象である。その一方で、我々の住んでいる宇宙そのものについて、いかにして超弦理論から実験的・観測的帰結を引き出すかは長年の課題である。超弦理論から我々の宇宙の実験・観測についてどのような知見が得られる可能性があるのか?またそのために何がなされる必要があるのか?本講演ではこれらの問いについての手がかりのいくつかを議論し、超弦理論の可能性について展望したい。

      Speaker: 山崎 雅人 (IPMU)
    • 11
      Belle II 実験の現状と展望

      BelleII実験は、電子(7GeV)・陽電子(4GeV)衝突型加速器SuperKEKBを用いて大量のB中間子などを生成し、その崩壊を複合型検出器BelleIIで精密測定する実験で、前身のBelle実験の50倍(50ab-1)のデータ収集を目標としている。2019年から現在まで世界最高ルミノシティ(4.7×10^34/cm^2/s)と積分ルミノシティ420fb^-1を達成し、B、D、τ崩壊の精密測定や、新粒子の直接探索、ハドロン物理等の様々な物理解析を行っている。本講演では、これまでに得られた成果と関連分野との位置づけ、高輝度化のための課題等について議論する。

      Speaker: 古賀 太一朗 (KEK)
    • 12
      量子技術の素粒子実験への応用

      量子ビットはエネルギー準位が制御可能できる人工原子としての側面を持ちつつ、デザイン次第では原子に比べてはるかに大きな結合定数を持つ。センサーとして高いポテンシャルを秘めているのは明らかである。同時にこれはノイズにも弱いことも意味するが、低ノイズ環境への追求は量子コンピューターの文脈でこの20年大きな飛躍を遂げ、電磁ノイズといった凡庸なノイズは効かないが面白いノイズ (コヒーレント光子・ダークマター・重力波etc.) は見えるというオイシイ状況が図らずも典型的な実験系で実現されている。単一マイクロ波光子検出、単一マグノン検出などの重要なマイルストーンが達成されている一方で、量子ビットの粒子センサーへの応用はまだ研究が初期段階である。このトークではこうした研究の現状と、量子ビットが近い将来大きなインパクトをもたらしうる素粒子実験の領域や、そこから外挿される長期展望について、ここまで研究してきた雑感を交えながら議論する。

      Speaker: 陳 詩遠 (ICEPP)
    • 11:30
      Lunch
    • 13
      重力波と天体と新物理

      連星ブラックホールや連星中性子星が合体する際の重力波はLIGOを筆頭に地上重力波検出器によって多数検出されており、近年ではパルサータイミングアレイが低振動数での重力波背景放射の兆候を報告している。特に連星が関与する天体物理は不定性が大きく、いずれの重力波信号も標準的な物理で想定される天体物理のシナリオと整合的だと理解されている。今後は天体物理の理解自体が重力波の観測結果を参照する形で進み、整合性はより顕著なものとなり、翻って新物理が許される余地も限定的となることは一つのありうる未来であろう。本講演では、精密観測が得意とは言い難い宇宙観測の一つである重力波観測から、将来的にどうすれば新物理に迫ることができるか議論する。

      Speaker: 久徳 浩太郎 (京都大)
    • 14
      一立方キロメートルニュートリノ望遠鏡の成果と次世代望遠鏡に向けた展望

      高エネルギー宇宙ニュートリノは、宇宙のどこかで加速されている超高エネルギー宇宙線が天体内外の光や物質と相互作用することで生成される荷電パイオンの崩壊によって作られる。同時につくられる中性パイオンの崩壊からはガンマ線が出るので、ニュートリノ天文学と言う時は常に光を使った観測と組み合わせ、マルチメッセンジャー天文学として統合的に宇宙を理解するということを目指す。このような高エネルギー宇宙ニュートリノの観測目指し南極点に建設されたのが世界初となる一立方キロメートルの容量を持つIceCubeニュートリノ望遠鏡である。北半球の地中海やバイカル湖でも同規模の望遠鏡の建設が進められている。本講演ではIceCubeの完成から約10年で得られた成果を紹介し、その成果を踏まえた将来展望について議論する。

      Speaker: 石原 安野 (千葉大)
    • 15
      CMB実験の現状と今後の展望

      宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の精密観測による物理成果は、宇宙物理学のみならず素粒子物理学においても歴史的に大きなインパクトを与えてきた。観測装置の向上や実験の大型化によって、CMBの偏光観測による宇宙のインフレーションやニュートリノの絶対質量等の重要な課題に大きな進展を迎えつつある。本講演では、現行のCMB実験の現状と将来計画の進展を紹介しつつ、それらの物理成果がもたらす宇宙・素粒子物理学の新展開に関して議論する。

      Speaker: 櫻井 雄基 (岡山大)
    • 15:00
      Break
    • 16
      Recent Progress and Future Prospects in Flavor Physics

      フレーバー物理は、弱い相互作用を通じて生じる理論誤差が小さいプロセスを、網羅的かつ精密に調べることでボトムアップ的に新物理を探る分野であり、その歴史は古い。また、現段階でCPの破れを観測できる唯一の手法である。物質反物質非対称性の謎やフレーバー構造の起源に迫ることを目標としている。近年、実験技術の進歩と格子QCD計算の改良により多くの不定性が改善されたことで、新物理への感度が高まり、さらにはいくつかのアノマリーが報告されている。本講演ではこのような背景を基に、最先端のフレーバーの理論とその未来の展望をいくつか紹介するとともに、現在特に注目されているBアノマリーの物理について議論を行う。

      Flavor physics is the field that explores new physics in a bottom-up approach by comprehensive and precise measurements of processes that occur through weak interactions, leading to small theoretical uncertainty. Flavor physics is also the only method that can observe CP violation at this moment. The goal is to explore the mysteries of matter-antimatter asymmetry and the origin of flavor structures. In recent years, progress in experimental techniques and improvements in lattice QCD simulations have boosted sensitivity to new physics, and even reported several flavor anomalies. Based on this background, I will present some of the recent flavor theories and their future prospects, and also discuss physics related to B anomaly, which is currently attracting particular attention.

      Speaker: 北原 鉄平 (中国科学院)
    • 16:30
      Break
    • 17
      ミューオン稀崩壊探索実験の現状と展望

      ミューオン電子転換過程は荷電レプトンフレーバー保存を破る過程(CLFV)であり、標準理論ではニュートリノ質量を考慮したとしても到底実験で観測できるレベルの崩壊分岐比にはならならい。すなわち、発見すれば直ちに新物理を示唆する。ミューオン電子転換過程探索実験は現在J-PARCのCOMET実験、FNALのMu2e実験が準備を進めている状況で、双方ともいよいよ近い将来に実験開始予定である。本講演では、主にCOMET実験の現状について紹介し、Mu2eの状況や他のミューオンCLFV実験について、さらに将来の展望について議論する。

      Speaker: 上野 一樹 (大阪大)
    • 18
      K中間子の稀崩壊探索実験の現状と展望

      K中間子を用いた実験として、稀崩壊事象であるK→πννの精密測定を通した新物理の探索が欧州と日本で進められている。この崩壊ではsクオークがdクオークにフレーバーを変える中性カレントによって遷移する。標準理論の枠内では小林益川行列の特異な構造により遷移確率が抑えられいる上、理論的な不定性が小さいために、新物理の探索に有益なモードとなっている。本公演では、現在進行中のCERNのNA62実験とJ-PARCのKOTO実験の成果とこれらの将来実験の展望について議論を行う。

      Speaker: 塩見 公志 (KEK)
    • 19
      ミューオン冷却と加速の現在と将来展望

      ミューオンの冷却と加速によって得られる高品質のミューオンビームは、既存のミューオンビームでは不可能であった素粒子実験を可能にする新しい技術であり、精密測定実験からミューオンコライダーを目指したものまで世界中で開発が行われている。日本ではJ-PARCで進行中のミューオンg-2/EDM実験の根幹をなす技術として熱ミューオニウムのレーザーイオン化による正ミューオンの冷却と線形加速器による再加速の開発が進んでいる。本講演ではJ-PAR ミューオン g-2/EDM実験での開発を中心に、海外で行われている開発にも触れながら、ミューオン冷却と加速技術の現在、そしてその将来展望について講演する。

      Speaker: 上岡 修星 (KEK)
    • 20
      波動的な性質を持つ軽いダークマターの探索実験の現状と展望

      今まで、素粒子実験におけるダークマターといえば、粒子的な描像を持つ Weakly Interacting Massive Particle (WIMP) が活発に探索されてきたが、まだその証拠が得られていないことから、様々なモデルのダークマター候補が探索されるようになってきている。その中でも、特に活発に探索されているのが、アクシオンやダークフォトンといった波動的な性質を持つ eV 以下の軽いダークマターである。本講演では、わたしが行なっている DOSUE-RR (Dark-photon dark-matter Observing System for Un-Explored Radio-Range) の話をベースに、昨今行われているアンテナを利用したダークマター探索の現状と展望を話す。

      Speaker: 安達 俊介 (京都大)
    • 21
      観測的宇宙論: 大規模銀河サーベイの現状と将来(zoom)

      宇宙マイクロ波背景放射の精密測定を始めとする天文学観測技術の飛躍的な発展によって、宇宙のエネルギー密度のうち、既知の物質はたった約5%しかなく、残りの約26%は未知の物質である暗黒物質、約69%は加速膨張を引き起こす未知のエネルギーである暗黒エネルギーであることがわかった。宇宙の暗黒成分の正体を探るため、世界中で多くのサーベイ観測が実行・計画中である。宇宙の大規模構造は暗黒物質による引力と、暗黒エネルギーによる加速膨張とのせめぎ合いの下で形成される。よって、大規模構造の時間発展を測定することで、暗黒成分の性質を調べることができる。本講演では、すばる望遠鏡超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Camによる広視野深宇宙サーベイデータの弱重力レンズ効果精密測定による最新の結果を中心に、他の競合するサーベイの成果や将来計画について解説する。

      Speaker: 宮武 広直 (名古屋大)
    • 22
      ILCのこれまでと今後、大型計画の生みの苦しみ

      ILCの源流となる電子陽電子線形コライダーは80年代にさかのぼる。その後40年にわたり計画は変遷しながらも本質は変わらず、国内では20年以上ずっと(少なくとも公式には)トッププライオリティの計画であり、海外からも実現を期待されながら明確な日の目を見ることはなく今日に至り、今ふたたびヒッグスファクトリーの一つとして国際競争のさなかにある。
      なぜこれまで実現しなかったのか、これからどうするのかについてはここ数年将来計画委員会等でも議論が活発に行われてきた。その議論も踏まえて、個別の観点よりもできるだけ大型計画の実現という一般的な課題に関するケーススタディとしてこの問題に関する私見を述べ、皆様のさらなる議論のきっかけにしたい。(物理の話も少しはします)

      Speaker: 末原 大幹 (ICEPP)
    • 11:30
      Lunch
    • 23
      電子EDM探索の今と未来

      電子の電気双極子モーメント(EDM)は時間反転対称性を破る存在であり、標準模型から予測される値は非常に小さい。したがって標準模型の予想より大きな有限値の電子EDMを観測することができれば、新物理の間接的な証拠となる。近年では原子や分子を用いた電子EDM探索が盛んに行われており、すでに既存の加速器実験を超えるエネルギー領域に対しても制限を与えつつある。本講演では、冷却された極性分子ThOのビームを用いるACME実験の現状に加え、現行実験・将来計画についても紹介し、電子EDM探索の展望について議論する。

      Speaker: 平本 綾美 (岡山大)
    • 24
      低速中性子を用いた基礎物理実験の現状と展望

      中性子は電荷を持たず約15分という長寿命を持つため、電気相互作用の影響を受けずに精密に相互作用の検証を行うことができるプローブである。特に波動性が顕著に表れ光学的に制御することが可能な低速中性子は、次に述べるような種々の基礎物理実験に用いられている。中性子EDMの存在は時間反転対称性を破り、CPT保存を仮定すればこれはCP対称性の破れと同義である。標準理論における計算値は現在の観測精度に比べ桁違いに小さいため、クリーンな環境で新物理の検証が行える。中性子が原子核に吸収された際の複合核反応において離散的対称性が増幅する場合があり、これを用いた時間反転対称性の検証実験も行われている。中性子ベータ崩壊寿命はビックバン元素合成や小林-益川理論におけるユニタリー性の検証にとって重要な物理量である。重力場中の中性子の波動的振る舞いから既知の相互作用からのずれを観測することによって未知短距離力を検証することもできる。
      これらの低速中性子を用いて観測できる物理量やその測定手法についての現状についてのレビューを行い、観測技術の向上や将来の展望について議論する。

      Speaker: 川崎 真介 (KEK)
    • 25
      おわりに
      Speaker: 横山 将志 (東京大)
    • 26