Speaker
久保 毅幸(KEK)
Description
この講義では、超伝導加速空洞における革新的技術として注目されている積層薄膜構造について解説する。積層薄膜構造は、ニオブ製の超伝導空洞の内表面に薄い絶縁層を挟んで高Tc超伝導体を積層するもので、加速電場を大幅に向上させると期待されている。通常、超伝導加速空洞の物理を理解するには、BCS理論のグリーン関数による定式化といった高度な理論が必要とされるが、幸い、積層薄膜構造のエッセンスは初等的なロンドン理論で把握可能である。
講義では、ロンドン理論を使って単体の超伝導中の磁場分布や電流分布、過熱磁場の計算を行う。その後、積層薄膜構造を持つ超伝導体中の同様の計算を進め、最適な膜厚が存在することを示す。各計算をBCS理論を用いて実行した場合の結果も紹介する。さ
らに、最新の実験結果についても解説する。