科学研究の根本的課題の一つは、限られた観測量から系の内在状態を推定することである。しかし、複雑に結合したシステムでは、この「反演」は必ずしも完全に可逆ではない。情報は伝達の過程で圧縮・重畳・非線形的に結合され、異なる内部状態が類似した観測結果を示すことがある。 大型リニアックの場合、その一例として、加速空洞のランダム誤差が運動量ドリフトを引き起こし、観測できるのは位相モニタや飛行時間モニタなど限られた情報に限られる。空洞数とモニタ数が数学的には対応していても、応答の累積性と非線形性により、物理的に非可逆となる。...
大強度ビームでは空間電荷効果により縦横方向の位相空間分布が相互に影響を及ぼし合うことが知られている。J-PARCリニアック初段部で測定可能なビームプロファイル画像から空間電荷効果の寄与を利用して畳み込みニューラルネットワークでビームパラメータを推定する手法について開発を進めている。本講演では、ビームパラメータ推定に関しての検討すべき誤差要因とその対策方針に関して紹介する。