質量分析技術者研究会は、大学及び大学共同機関等の技術職員で質量分析に関わっている技術者を中心に、質量分析技術の向上を目指して発足した会である。会員は国内外の初学者からベテランまで幅広く、その専門範囲も物理・化学系から材料系、生物系をフォローしている。具体的には毎年1回から数回の研究会を主催しており、現場の技術者が専門的知識の基礎を繰り返し学習しつつ、経験談を交えてより実践に即した応用技術を学び、さらなるスキルアップを行っている。研究会を通じて実務者や装置等メーカー技術者からのアドバイス、技術開発のための情報を得ることができ、新人育成や相互交流を促進できる場となっている。横のつながりから誰でも相談ができ、特に初学者に馴染みやすくなるよう閾値の低い運営を心掛けている。本発表ではこれまでの活動の成果を報告する。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所先端工作技術グループでは、2016年の発足時より、国立大学等に在籍している技術職員の方々を招聘し宇宙航空に関わる”ものづくり”活動をおこなっている。発足から約8年が経過し、これまで当グループに籍を置いた6大学1機構、計11名の方々によりグループは支えられ、発展してきたと言っても過言ではない。また、任期満了後帰任された8名の方々とは、現在も共同研究や技術協力、情報交換など様々な形で交流が続いている。本発表では、当グループが取り組んでいるこの人事交流活動について紹介をさせていただき、多くの大学で取り組みはじめた技術職員の学外研修(技術交流・人脈形成)の一助になればと思い発表いたします。
全学共用分析機器担当者の技術力強化のため、他機関の優秀な技術者によるトレーニングを企画・実施した。同機種のエキスパートを探し、実施内容の検討、日程調整、講師依頼等の手続きを行った。今年度の対象機器は、質量分析計JMS700、固体NMR、単結晶X線構造解析装置、MALDI-TOFMSである。内容は、機器の保守管理・メンテナンス法および基本操作手順の説明と実施が中心であった。トレーニング後は、報告書を基に受講者とのディスカッションを繰り返し、問題点や課題を見出す工夫を施した。今回は、従来の方法の確認や、他機関との比較による最適手法の確立など、大きな収穫を得た。今後は対象装置を増やし、レベルアップを目標に継続していく。
昨年のこのシンポジウムでは、KEKには技術部がないこと、KEKの技術職員は、教員・研究者の強力なパートナーとしての技術の専門家であること、を述べました。今回はこのパートナーシップについて考えてみたいと思います。KEKの技術職員は、装置を作ることができる・運用できる専門的な技術者です。KEKの推進する加速器科学は、研究も技術も、そして装置も複合的で多様化しています。技術の連携、技術者のパートナーシップがとても大切です。今回の報告では、技術部のないKEKではどのように委員会などの活動を自主的に展開できているのか、そして研修やセミナーを中心としてKEK内だけでなく広く他機関との連携を推進していることをお話しします。最後に、これからの実践的な連携を目指してKEKの考えていることにも触れたいと思います。