Speaker
Kosuke Uemura
Description
本研究では、グラフニューラルネットワーク(Graph Neural Network, GNN)および説明可能AI(Explainable AI, XAI)を用いて、KEK電子陽電子入射器の調整性能向上に寄与する重要パラメータの推定を行った。本研究の目的は、複雑な加速器運転調整機構を理解し、ビーム透過率の向上およびエネルギー損失の低減を実現することである。先行研究では、多層パーセプトロン(Multi-Layer Perceptron, MLP)を用いて入射効率やエネルギー損失を予測し、XAIにより重要度の高いパラメータを推定した。しかし、MLPを基本としたモデルでは、入力パラメータ数が約1000を超えると過学習が生じ、予測精度が低下するという課題があった。本研究では、この問題を回避し、構成要素が多い大型加速器制御でも機械学習の適用を可能にするため、GNNを用いた 機械学習手法を開発した。GNN は、ノードとエッジから構成されるグラフ構造を入力とし、要素間の関係性を学習できる機械学習モデルである。加速器内の多様なパラメータをユニット情報に基づいてノードおよびエッジとして表現し、加速器構造を反映したグラフデータを構築した。さらに、構築したGNNモデルに対してXAIを適用し、入射効率向上およびビームロス低減に寄与する重要パラメータを推定した。本発表では、これらの手法および得られた結果について報告する。