今日, 超伝導は先端加速器においてますます重要な技術となっている.
本講義では超伝導の基礎的な内容について紹介する.
具体的には, マイスナー効果, ロンドン方程式等の現象論, 超伝導状態の熱力学特性, BCS理論の基本的な考え方, ジョセフソン効果等について解説する.
SuperKEKBは電子・陽電子を衝突させ、その衝突による反応現象から新しい物理を見つけ出そうとする加速器です。目標とする衝突の頻度は、SuperKEKBの前加速器KEKBより一桁以上高く、電子と陽電子のビーム衝突断面形状は、垂直方向に約50ナノメータ、水平方向に約10マイクロメータまで絞り込みます。今回のセミナーでは、加速器電磁石で用いられる磁場について簡単に説明し、電子・陽電子ビームを絞り込むための超伝導電磁石システムについて説明します。
欧州原子核研究機構(CERN)のLarge Hadron Collider(LHC)は、世界最高エネルギーでの陽子・陽子衝突実験を行う、エネルギーフロンティア加速器である。世界最高の重心系衝突エネルギー(7+7=14...
素粒子物理実験のフロンティアを担う高エネルギー加速器・物理実験では、軌道制御を担う超伝導磁石、加速を担う超伝導高周波加速空洞が両輪となって、将来の更なる発展に向けた鍵を握ります。これらの超伝導技術の発展に着目しつつ、高エネルギー加速器フロンティアの未来を展望します。 また、夜話・余話として、超伝導技術の究極的な応用となった『超伝導スペクトロメータによる宇宙起源反粒子探索・南極周回気球実験(BESS)」への取り組み』を紹介し、20年かけて実現した『夢』への体験をお伝えしたく思います。
超伝導を利用するには超伝導体で製作された機器を極低温に冷却する必要がある。
極低温環境を提供する冷凍機にはいくつかの種類があるが、加速器のような比較的大規模な応用では、液化ヘリウムを利用する方法が一般的である。
液化ヘリウムを供給するための冷凍システムや、断熱の仕組みについて解説する。
また、いくつかの冷凍システムの例を紹介する。
低温重力波望遠鏡(KAGRA)の鏡を冷却する目的は、鏡内部の熱雑音を抑制し、量子雑音レベルの計測を行うことにあります。大パワーレーザ光の照射を常に受ける干渉計の鏡は、鏡の基材と反射膜のわずかな光吸収が発熱源となって熱雑音が発生します。
加えて、観測帯域中で鏡を自由質点として運動させるために鏡は振子状に懸架され、超高真空中に置かれます。このため、鏡の位置変化を生じさせない無振動の冷却法が要請されました。本講義では、KAGRAの鏡を無振動で20 Kまで冷却する低温設備を紹介します。